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2013.1.07

走る前に一読! ランニング小説 <前編>

 

“読むと走りたくなる”
そんな、ランニングをテーマにした小説をジャンルごとに一挙紹介。
練習前や大会前などモチベーションを上げるときにぜひ!

 

【ヒューマンストーリー】

爽やかな“風”を感じて
目標に向かってライバルや仲間たちと共に切磋琢磨していく登場人物たちが感じるそれぞれの“風”。自分だけの特別な“風”をつかもう!

『風が強く吹いている』(文庫)
●著/三浦しをん ●903円 ●新潮社
怪我により競技から遠ざかっていた大学4年生の灰二(はいじ)と、かつて天才ランナーと呼ばれていた大学1年生の走(かける)が出会い、素人同然のチームメートたちと一緒に箱根駅伝出場を目指す。若手人気俳優・小出恵介が主演を務めた映画版も話題を呼んだ。


『カゼヲキル』1~3巻
●著/増田明美 ●各1365円 ●講談社
84年のロサンゼルス五輪に出場したスポーツジャーナリスト、増田明美が綴る本格マラソン小説。タータンのトラックさえ走ったことのない田舎の中学二年生、山根美岬がひとりの男に才能を見込まれ、陸上競技にのめり込んでいく。女子マラソン五輪代表を目指す「助走」「激走」「疾走」の3部作。


『一瞬の風になれ』1~3巻(文庫)
●著/佐藤多佳子 ●1巻520円、2巻580円、3巻780円 ●講談社
春野台高校陸上部のスプリンター、新二と連の高校三年間の成長を描いた「イチニツイテ」「ヨウイ」「ドン」の3部作。勝負の厳しさや、才能の残酷さにぶつかりながらも、400メートルリレーを通じて「勝ち負け」ではない走ることの楽しさを見出す。’07年本屋大賞受賞作。

【サスペンス・ミステリー】

スリリングな展開に心拍数も上昇!?
恨み、妬み、野望……。何が起こるか分からない世界で、ランナーの心に渦巻くさまざまな思い。ラストには大ドンデン返しが!

『強奪 箱根駅伝』(文庫)
●著/安東能明 ●704円 ●新潮社
箱根駅伝目前に出場チームのマネージャーを誘拐し、駅伝生中継のジャックをほのめかす犯人。そして混迷の中、駅伝がスタート。各チームの激走とシンクロするように、誘拐犯・テレビ局・警察の攻防戦が繰り広げられる。緻密に描かれた駅伝中継の舞台裏も読み応えあり。箱根駅伝を観戦する前にもオススメ。


『激走福岡国際マラソン42.195キロの謎』
●著/鳥飼否宇 ●1470円 ●小学館
北京オリンピック代表選考を兼ねた福岡国際マラソンのレース中に起こったランナーの急死。事故か? 事件か? 招待選手やペースメーカー、先導の白バイ警官などの思惑が複雑に絡み合い、レースは進む。スタートからゴールまで1キロ単位に章が変わるテンポの良さも◎。ラスト直線100メートルで真相が明らかに。

【ファンタジー】

ランニング初心者の心情を表現
荒唐無稽な展開から走り始める、切なくも笑えるストーリー。ネガティブな登場人物の心がランニングしていくうちに変化する。

『ラン』
●著/森絵都 ●1785円
家族を亡くし喪失感を抱えていた22歳の環(たまき)は、ある日「一気に走り抜ければ生者があの世に行ける」という、冥界と下界をつなぐ40キロのレーンに遭遇する。亡くなった家族に会うためランニングをはじめた環は、ランニングクラブ「イージーランナーズ」のメンバーに出会い次第に心を開いていく。


『彼女の知らない彼女』
●著/里見蘭 ●1323円 ●新潮社
現実世界と同時並行的に存在する別世界“パラレルワールド”の“私”の影武者として、2016年東京オリンピック女子マラソン選考レースを走ることになった、スポーツとは無縁の“私”。準備期間はたったの4カ月。LSD、スプリント、クロスカントリーなどの本格トレーニングを積み、マラソンに挑戦!

【そのほか】

市民ランナー必読!
ロンドンオリンピック代表を逃したものの、12月の防府読売マラソン(川口)で5度目のフルマラソン優勝を飾った“市民ランナーの星”川内優輝選手を思わせる2冊と、世界三大都市マラソンの魅力が詰まった短篇集をピックアップ!

『チーム』(文庫)
●著/堂場瞬一 ●720円 ●実業之日本社
川内選手も出場経験がある、箱根駅伝の混成チーム「学連選抜」。箱根駅伝出場を逃した大学の中から予選で好タイムを出して選ばれた“寄せ集め”の選抜メンバーは何のために襷をつなぐのか? 選手たちの葛藤と激走に迫った一冊。


『ヒート』
●著/堂場瞬一 ●1785円 ●実業之日本社
ペースメーカーを主人公にした、前出『チーム』のその後の物語。日本男子マラソンの長期低迷傾向に歯止めをかけるため新設された「東海道マラソン」で思いがけない展開が……。世界最高記録に挑む公務員も登場する同作。公務員の川内選手も11年の福岡国際マラソンの前に熟読していたとか。


『シティ・マラソンズ』
●著/三浦しをん、あさのあつこ、近藤史恵 ●1260円 ●文芸春秋
アシックスの期間限定ウェブ小説『マラソン三都物語~42.195km先の私に会いに行く~』の書籍版。スポーツ小説をヒットさせた、三浦しをん(『風が強く吹いている』)、あさのあつこ(『バッテリー』『ランナー』『スパイク』)、近藤史恵(『サクリファイス』)が、ニューヨーク、東京、パリのシティマラソンを舞台に綴るマラソン・アンソロジー。

・ニューヨークシティマラソン編「純白のライン」著/三浦しをん
社長から突然ニューヨークへの出張を命じられた主人公の広和は、社長の娘の真結(まゆ)を監視するため、INGニューヨークシティマラソンに出場させられるハメに。

・東京マラソン編「フィニッシュゲートから」著/あさのあつこ
主人公の南野悠斗は、3万人ものランナーが出場する東京マラソンのフィニッシュゲート近くで、中学時代の親友・湊のゴールを待っていた。

・パリマラソン編「金色の風」著/近藤史恵
小さいころから叩き込まれてきたバレエと、才能ある妹から逃げ出してきた夕(ゆう)の心を救ったのは、街を駆け抜ける金髪のジョガーと彼女の横を走る金色の犬だった。

 

<後編>はコチラ