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2013.1.10

走る前に一読! ランニング小説 <後編>

 

“読むと走りたくなる”
そんな、ランニングをテーマにした小説をジャンルごとに一挙紹介。
練習前や大会前などモチベーションを上げるときにぜひ!

 

前編はコチラ

 

【青春】

学生時代の思い出がよみがえる!?
互いに成長できるライバルの存在や、自分自身との葛藤、甘酸っぱくも切ない恋愛など、青春ストーリーが満載。

『スパイクス ランナー』
●著/あさのあつこ ●1365円 ●幻冬舎
レースで惨敗し、一度は陸上競技から遠ざかった高校一年生の加納碧李(あおい)の複雑な家庭環境や復帰までの道のりを描いた『ランナー』の続編。高校二年生になった碧李は、復帰後初の5000メートルのレースに出場。そこで、10年に1人の逸材と呼ばれる三堂と出会い、再び走る喜びを見出す。


『800』(文庫)
●著/川島誠 ●620円 ●角川書店
優等生の広瀬と野生児の中沢。対照的な二人の高校生が“走る格闘技”800メートル走でぶつかりあう。カーボ・ローディングやサーキット・トレーニング、速筋と遅筋肉の関係など、競技に関する要素に触れつつも、同じ陸上部の女の子に恋をするといった恋愛エピソードも盛り込まれている。


『もういちど走り出そう』(文庫)
●川島誠 ●-円 ●角川書店
主人公はかつて400mハードル、インターハイ3位に輝いたことのある29歳の歯科医師。仕事で成功をおさめ、理想の家族を築いてきたが、妻が小説の新人賞を受賞したことをきっかけに家族に亀裂が生じてしまう。過去の栄光を振り返り、再びランニングをはじめた歯科医師は、自問自答しながらも一つ一つの障害を乗り越えはじめる。

【海外文学】

信念を持って突き進む
格差や身体障害など、社会性を取り入れた作品が目立つ海外作品。自分を信じる強さや、家族や仲間との絆が描かれる。

『長距離走者の孤独』
●著/アラン・シリトー ●500円 ●新潮社
全英長距離クロスカントリー競技会の感化院(児童自立支援施設)代表に選出された主人公のスミスは、名誉や権威、規制に固執する院長に反抗するため、わざと負けることを決意する。そして、凍てつく寒さの中“この世で最初で最後の人間みたいな気持ち”を味わいながら誰もいない感化院の敷地を爽快に駆け抜ける。


『遥かなるセントラルパーク』上下巻(文庫)
●著/トマス・マクナブ ●各571円 ●文藝春秋
ロスからニューヨークまでの5000キロを3カ月かけて走る、総額賞金36万円のウルトラマラソン大会「アメリカ大陸横断フット・レース」に世界60カ国、2000人のランナーが参加。自然の猛威や、政治的な妨害など幾多の困難が待ち受ける中、主人公の50代の元プロランナーが、リタイアしそうになる参加選手たちを鼓舞し、ゴールを目指す!


『マラソン』(文庫)
●著/笹山薫 脚本/ユン・ジノ、ソン・イェジン、チョン・ユンチョル  ●480円 ●幻冬舎
韓国で観客動員数520万人を記録した同名映画を小説化。自閉症の息子・キョンスクの育て方に悩んでいた母親が、走っているときだけ楽しそうに感情を表に出す息子の様子を見て、ランニングを始めさせる。目標は“サブスリー”。しかし、ある事件をきっかけに母親は「息子は自分に捨てられたくないから走り続けているのでは……」と自責の念を抱き、走ることを禁止してしまう。だが、キョンスクの気持ちはスタートラインに向かっていた……。

【そのほか】

小説家とランナーの共通点とは?
25年にわたってフルマラソンや100キロマラソン、トライアスロンを走ってきた小説家・村上春樹の自叙伝的エッセイをご紹介。

『走ることについて語るときに僕の語ること』
●著/村上春樹 ●1500円 ●文藝春秋刊
小説『羊をめぐる冒険』を書き上げた92年、専業作家としての生活をはじめると同時に体調維持のためにランニングを開始。コツコツと時間をかけて体を作っていく過程や緻密なペース配分はまるでアスリートのよう。そして、それは同氏の小説の書き方にもつながっていく。これまであまり語られてこなかった小説家になったきっかけや、仕事観も綴られていて読みごたえあり。走っているときに生まれるネガティブな感情や走り終わったあとの安堵感は、ランナーであれば誰しもが共感できるのでは?