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2016.2.26

【第50回記念大会】東京マラソン出場ランナーも必見! AOSYNスペシャルトークショーの様子

第50回記念大会に出場したランナーの皆さん、お疲れさまでした! 「青梅マラソン」に続き、2月28日(日)には「東京マラソン2016」が開催されるということで、2週続けて大会出場の方もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、第50回記念大会前日に青梅市総合体育館で行なわれた、「AOSYNスペシャルトークショー」の様子を紹介します。

トークショー01
第50回記念大会30キロの部のスペシャルスターターを務めた瀬古利彦さん(DeNAランニングクラブ総監督)と、10キロの部のスペシャルスターターの高橋尚子さん(シドニー五輪女子マラソン金メダリスト)を招いたトークショーでは、青梅マラソン大会はもちろん、今後さまざまなマラソン大会に出場するランナーの皆さんにとって、参考になるお話がたくさん飛び出しました!

トークショーではまず、青梅マラソン出場経験者のお二人が、それぞれ青梅マラソン大会の思い出について語りました。

終始和やかなムードで行なわれた今回のトークショー。序盤から、瀬古さんのジョークが冴えていました。

終始和やかなムードで行なわれた今回のトークショー。序盤から、瀬古さんのジョークが冴えていました。


瀬古さん
「僕が青梅マラソン大会に出場したのは、24歳の絶好調のとき(=’81年、第15回大会にオープン参加)。ボストンマラソンの練習に一番良いのが青梅マラソンだと思い、大会直前に出場を決めたんです。そのとき僕が出した記録は1時間29分32秒。それで勢いがつき、ボストンマラソンでは大会新記録で優勝を決めました!」

昨年のトークショーに続き今年も、たくさんの実践的なアドバイスを話してくれた高橋さん。

昨年のトークショーに続き今年も、たくさんの実践的なアドバイスを話してくれた高橋さん。

高橋さん
「私にとって青梅マラソンは、人生でも忘れられない大会。2000年のシドニー五輪で金メダルを獲得した後、“激太りした”と散々バッシングを受けていた辛い時期に出場したのが、青梅マラソン大会(=’01年、第35回大会)でした。30kmの部で日本新記録を出して優勝し、それを機にバッシングがピタっと終わったんです。青梅マラソンでの皆さんの暖かい声援に救われました」

お二人は当時、それぞれ強化トレーニングを重ね、青梅マラソン大会に挑んだそう。とくに高橋さんは、大会までの2週間、毎日30キロの過酷なトレーニングを続けたことを明かしました。

そうして出場した青梅マラソン大会で、瀬古さんは、いまでも破られていないコース最高タイム(オープン参加のため参考記録)を出し、高橋さんは優勝を決めました。
そんなお二人に青梅マラソンのコースについて聞くと、「平地がない、いじわるなコース(笑)」と口をそろえました。

瀬古さん
「青梅のコースは、山を登って降りてくるようなコース。高低差が85.8メートルもあるなんて、信じられない! 青梅マラソンのコースで、新旧山の神対決をやったら面白そう」

高橋さん
「青梅マラソンで30キロを走れれば、どこのマラソン大会でも走れると思います。トップ選手だけでなく、市民ランナーがステップアップを目指す意味でも、この青梅の30キロはちょうど良いコースですね」

また、コースは“いじわる”でも、青梅マラソン大会の雰囲気については、「応援が近い。応援の間をくぐって走った印象が強いです」(高橋さん)、「青梅マラソンは楽しい! 地元の人の“お・も・て・な・し”が凄いよ」(瀬古さん)と、お二人とも“暖かい印象”と振り返りました。

トークショーの後半では、レース前日の過ごし方や食べるものについて、そして、レース当日にやっておくべきことなど、翌日の大会に向けた実践的なアドバイスも。

瀬古さん
「試合の前には、絶対にいままでと変わったことをしないこと! 美味しいものを食べ、でも食べすぎず、お風呂にゆっくり入って、ビールの1本でも飲んで寝ること。僕の場合は、当日の朝は決まって、3杯のご飯、卵焼き、納豆、ほうれんそうのおひたし、味噌汁を食べていました。レースの3時間前に起きて30分間走り、2時間前には食事を済ませる、そう決めていました」

高橋さん
「前日の食事にもいろんなタイプがありますが、私の場合は、力うどんをおかずにご飯を食べるのを習慣にしていました。最後は、炭水化物でエネルギーだけを取り込むんです。前日の夜は、当日になって焦らないよう、着替えなどの準備をしっかり済ませ、なるべく早めに布団に入りましょう。また、当日の朝の食事は3~4時間前に済ませ、レース中にお腹がすかないよう、パンやカステラなどの軽いものをこまめに食べるのがおすすめです」

さらに、高橋さんからは「明日ホテルから出る前や朝ごはんを食べる前に、5~10回、腹筋をしてください」とのアドバイスも。レース前に体の筋肉に刺激を与えておくことで、レース中にしっかり動くようになるのだそう。
「走るのが辛くなると、どうしても後傾の姿勢になりがちですが、それだと足が出なくなります。レース中、しっかりお腹に力を入れれば、後半まで前傾を保てます」(高橋さん)。

このほかにも、「ウォームアップは終わってから7分で効果がなくなってしまうので、スタートまでの待機中もその場でジャンプしたり足を回したりしておくといい」(高橋さん)など、すぐに実践できるアドバイスをたくさん話してくれました。

トークショーの最後は、ランナーからの質問コーナー。なかでも、とくに印象的だったのは「座右の銘や、恩師からの言葉で心に残っている言葉を教えて」という質問に対する、お二人の回答です。

瀬古さんは「中村(清)監督は怖かったからね(笑)。いろんなことをいっぱい言われすぎて、ワケがわからない」と言って会場の笑いを誘った後、印象に残っている言葉として、中村監督から言われた「練習で泣いて試合で笑え」「若いときに流さなかった汗は、歳を取って涙となって流れる」などを挙げました。

高橋さんは「小出(義雄)監督からは、365日、“Qちゃんは世界一になるよ”といわれ続けました」など、小出監督との思い出を語った後で、「でも、“座右の銘は何”、と聞かれると、小出監督ではなく、高校時代の恩師から言われた言葉」と明かし、以下の言葉を教えてくれました。
「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」――。

一流ランナーとして、栄光の時期も辛い時期も経験してきたお二人のスペシャルなトークショーは、会場に集まったランナーの皆さんの盛大な拍手を受け、終了しました。

大会前日、あいにくの雨にも関わらず、瀬古さんと高橋さんのトークを楽しみに、青梅市総合体育館には大勢のランナーが駆けつけました。

大会前日、あいにくの雨にも関わらず、瀬古さんと高橋さんのトークを楽しみに、青梅市総合体育館には大勢のランナーが駆けつけました。