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2015.2.15

大会前日イベントレポート「AOSYNスペシャルトークショー」

大会前日の2月14日、青梅市総合体育館にて今年もAOSYNスペシャルトークショーが行われました。

多くのトップランナーやマラソン関係者を招いて行われてきたこのスペシャルトーク。今年はシドニーオリンピック女子金メダリスト・高橋尚子さんと、同じくシドニーオリンピック男子銀メダリストのエリック・ワイナイナさんが登場しました。

とりわけ今大会のアンバサダーでもある高橋尚子さんにとっては、青梅マラソンは非常に思い出深い大会とのこと。高橋さんは2000年のシドニー五輪で金メダルを獲得した後、「激太り」といった記事が出てバッシングに晒され、辛い時期を過ごしていたと回想。そんな2001年、第35回青梅マラソンに出場し、30kmの部で日本新記録を出して優勝し、それを機にバッシングが止んだと振り返り、「すごく思い入れが深い大会。今回は恩返しをしたい」と語ってくれました。

 

そんな世界的トップランナーの高橋さんとワイナイナさんですが、実は2人とも元々はランナーとして自信がなく、五輪に出場できるなんて思ってもいなかったといいます。ワイナイナさんは、母国・ケニアにいた頃は走るのはそれほど好きではなく、サッカーの方が好きだったと告白。高校で陸上に転向し、記録が伸び始めたのをきっかけにスカウトされ、日本にやってきた彼ですが、その頃も「自分では強いと思っていなかった」と語っていました。

これには高橋さんも「私も同じ。ずっと弱かった」と答えます。高校2年で、初めて皇后杯(全国都道府県対抗女子駅伝)に出場したときは第2区を走り、47人中45位という成績。「決して調子が悪かったわけでもなく、実力で(その成績)。恥ずかしかった」と振り返ります。その後、8年連続で出場した高橋さんは少しずつ順位を上げていき、8年目に区間賞を獲得しました。そんな高橋さんも「オリンピックなんて自分に関係してくると思っていなかった」といいます。

だからこそ今回の青梅マラソンのようにワイナイナさんといったトップランナーと一緒に走れる機会はすごく大きなことだと高橋さんは指摘。「(五輪のように)全然違うと思っていた世界を近く感じるっていうのはすごく大切だと思います」と、トップランナーと走ることで「自分にも行けるかもしれない」と感じられる瞬間の貴重さを語ってくれました。

 

さらに、トークショー後半では翌日の大会に向けて2人からの実践的なアドバイスも。レース前日の過ごし方、食べるものの話題では、偶然ながら高橋さん、ワイナイナさんともにシドニー五輪のレース前日はうどんを食べていたという話をしつつ、「普段どおりを心がけた」と話します。「しっかり寝る。朝も軽く食べて、あとは体が冷えないように」というワイナイナさんの話に加えて、高橋さんからは「唯一普段どおりじゃダメなのはアルコール」というアドバイスが。アルコールは分解するために水分を必要とするため、レース中脱水症状になる可能性を高めてしまうということで、「飲まない、とまではいいませんが、控えめに」と述べていました。

 

また、テクニック面では給水についての話題も。青梅マラソンの30kmの部では給水ポイントは4カ所とやや少なめ。まずは「のどが渇いてなくても1カ所目から必ず飲むこと」と高橋さんがアドバイス。のどが渇いたと感じる頃にはすでに体の末端である手足はカラカラの脱水症状直前なんだそうです。だから、のどの渇きを感じる前に走りきるのがランナーの理想。のどが渇く前にしっかり水分を補給するのが大事なんだそうです。

そして、そのために重要になるのがコップの取り方。蓋のないコップは、走りながら取ると中の水がこぼれるし、飲もうとしても鼻に入ってしまったりと、なかなか難しいものです。そのため、高橋さんもワイナイナさんも、コップを取ったらまず口を潰して蓋代わりにし、そのまま端の隙間から水を飲むようにしているとのこと。こうすると中身があまりこぼれず、飲むときもストローのように少しずつ口に入れることができるというわけです。

このほかにも、「ウォームアップは終わってから7分で効果がなくなってしまうので、スタートまでの待機中もその場でジャンプしたり足を回したりしておくといい」といった話や、「疲労回復のためにはゴール後も軽く体操をしたり、アイシングをしたり、翌日も軽くジョギングをしたりといった“積極的回復”が効果的」といったすぐに役立つアドバイスをたくさんしてくれました。

青梅マラソンはもちろんですが、今後さまざまな大会に出場するランナーの皆さんはぜひ参考にしてみてください。